沖縄の中部・北部地町村会合同勉強会で講演

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   私は、5月29日、沖縄県北中城村にあるホテルコスタビスタ沖縄で行われた中部・北部市町村会(23自治体の市町村長及び議長)の勉強会において、「在日米軍基地問題の動向と将来展望」をテーマに、在沖縄米軍基地暫定分散移設案(Tentative Dispersion Relocation Plan)について、講演をさせていただきました。

講演での私の主張内容は下記の通りです。

Ⅰ.普天間の固定化を避けるために                      
   在沖縄米軍基地の最優先課題は、普天間の早期返還である。
   その移設先として辺野古埋立て案が1995年のSACO合意以来、両国政府で長年追求されてきたが、未だに実現されず今後の展望は暗い。仮に近い将来、環境影響評価書の承認、知事の認可が処理されたとしても、幾多の困難な課題が予想される。とりわけ、少なくとも10年と言われている埋立てに要する時間、そしてそれにかかる巨額の経費は大変なものである。 
その間、普天間は固定化されることになるだろう。辺野古の埋立てが現実的に実現困難な状況下においては、普天間の返還を実現させるため新たな解決策を模索していかなければならない。そのための具体的解決策として、従来主張された「嘉手納統合案」ではない、新たな「暫定分散移設案」を提案する。
    基地を県外、国外に移転するためには、その移設先の受け入れの可能性をまず追求しなければならない。そして今日までの非公式な折衝の中でも、県外、国外の基地所有自治体の中に沖縄の負担を分け合おうとする善意が存在することに接して勇気づけられている。新たな角度で沖縄県民および日本国民の善意が結集できれば、この問題は解決できると確信するに至った。
Ⅱ.アメリカ側における最近の政治情勢 
(1) 2011年4月、レビン軍事委員長(民主)、マケイン上院議員(共和党大統領候補)、ウエブ・アジア太平洋小委員長(民主)の3上院議員は、現地を視察した後、辺野古埋立て案は現実的には不可能(unrealistic, unworkable,naffordable)であると断定した。その後、代替案として「嘉手納統合案」を提起しているが、地元沖縄では強い反対意見がありそのままでは受け入れられない現実がある。
(2) 2011年10月、石井一(民主)は、佐藤正久(自民)、大野元裕(民主)の両参議院議員の同行をえてワシントン入りし、これらの有力米上院議員と意見交換を行った。沖縄問題を解決したいとする三上院議員の熱意を感じるとともに、両国政府の硬直的な政策を軌道修正するために協調して行動することを確認した。その後、米上院議員によって在沖縄海兵隊のグアム移転関連予算が二度にわたって上院で全額却下されるなど、現実に両国政府の政策転換へとつながっている。
(3) 米国は今後の米軍の在り方を示す国防戦略指針を示し、今後10年間、規模の縮小と防衛費50兆円以上の削減を行う一方、機動的で柔軟な先進技術を導入し、基地の分散配置を図るなど、アジア太平洋地域の安全保障の観点から米軍再編を全面的に実施している。
(4) 米国防権限法は米軍再編見直しに関して独立機関が計画を査定する報告書を作り米議会に提出することを義務付けている。米政府から委託を受けたCSISマイケル・グリーン上級顧問は5月上旬に訪日し基地を訪ね地元関係者と意見交換しており、6月上旬にはアジア太平洋地域の米軍配置の在り方について分析結果が米議会に報告される予定である。
(5) 4月30日にホワイトハウスにて野田首相とオバマ大統領との首脳会談が行われた。その共同文書は、普天間飛行場の辺野古移設を「唯一有効な解決策」としつつも、その文言の前に「これまでに特定された」と付記し、これから先に新たな移設先の検討がありうると読みとれる表現に修正された。さらに、移設を実現するには沖縄の同意を念頭に、「政治的に実現可能である基準」を満たす必要があると指摘。辺野古移設を「非現実的」と非難し、嘉手納基地への統合案の検討を迫る三上院議員の主張に配慮した。また、野田首相は首脳会談で、「お互いに議会と合意形成をし、緊密なコミュニケーションを取って進めたい」と提起し、これらはオバマ・野田両首脳間で確認された。
(6) SACO合意に基づく普天間移転と辺野古埋立計画の困難さを認識しつつある日米両国政府は、今回の首脳会談において明らかに政策転換の兆しをみせている。
Ⅲ.日本側における最近の政治情勢
(1) 官邸内に斎藤内閣官房副長官を中心に、外務、防衛、財務、内閣府の副大臣クラスの「沖縄に関する諸問題に係る幹事会」が設置されており、沖縄米軍基地問題について意見調整を行い、両国議会とのコミュニケーションの重要性を指摘し、首脳会談に臨む総理への進言に至った。
(2) 与党参議院議員有志によって「沖縄・本土・米国の連携による沖縄の未来を考える会」が発足し、来日したウエブ上院議員と意見交換を行った。また、政府関係者に対しても、普天間の固定化を避けるための「暫定分散移設案」を進言してきた。
(3) 日比議員連盟総会が5月初旬マニラで開催され、二国間の防衛協力や沖縄基地問題が討議された。(民主6、自民5、みんな4、計15名参加)
(4) 訪比した日比議連メンバーを中心に、沖縄基地問題の解決に向けた国会内での動きを加速し、単に与党内にとどまらず、この動きを超党派に広げていくことが現段階で重要である。
(5) 米側が秋ごろまでに再編見直しを行っている間に、日本側より「暫定分散移設案」の中身について、即ち具体的候補地名を提示することが喫緊の課題であり、これに間に合わせることが唯一最も有効な解決策だと思考する。
Ⅳ.暫定分散移設先候補地    
(1) フィリピン
   5月初旬に日本フィリピン友好議員連盟(会長:石井一参議院予算委員長)の国会議員15名がフィリピンを訪問し、アキノ大統領、上・下院議員、政府高官等と意見交換を行った。そして比側議連との間で、共同声明を発表するに至った。
       
                 比日・日比友好議員連盟 共同声明 第8項 (2012.5.4 マニラにて)

両国議員連盟の代表は、両国の防衛当局間及び海上保安機関間の交流及び協力強化の必要性につき議論し、比沿岸警備隊の能力向上のために、日本が多目的巡視船供与、通信システム改善、人材能力強化を積極的に行うことが重要であることを確認した。日本側議連は、日本の自衛隊が比憲法の条文に従って、フィリピン周辺における軍事訓練に参加することが重要であると強調した。また、沖縄の負担軽減のため、米軍の沖縄における訓練を比国を含む複数の地域で交替で実施することを提案した。

   フィリピンは憲法上、外国軍基地は禁止されているが、「訪問米軍に関する協定;Visiting Forces Agreement」に基づく「訪問」は認められており、「バリカタン」と称される共同訓練のための米軍事顧問団や、対テロ戦争のためとしてミンダナオ島サンボアンガ市に常時600名程度の米兵が存在している。
最近の南シナ海における中国の違法行為は目を見張るものがあり、深刻な安全保障上の問題を提起している。比国有の領土であるスカボロー礁への侵略は国際法違反であり、日米比が協力して対処しなければならない。
今後の日比防衛協力体制を進めるため、総会後再度マラカニアン大統領府を訪ね、Michael Frederick L. MUSNGI: Under Secretary for Special Concerns, Office of the President (特別懸案事項担当官房副長官)と会談をもち、日本の防衛省当局との基地に関する直接交渉を進めてもらうことになっている。今後の交渉によっては、当初は訓練基地としてスタートし、その後拡大していくことは可能である。

(2) グアム・アンダーセン空軍基地
 6000ヘクタール、駐在米兵2000人

(3) テニアンおよび北マリアナ諸島
   駐在米軍基地は存在しないが、島の北部は軍用地となっている。面積は約6000ヘクタール、4本の滑走路がある(その内3本はジャングル)。北マリアナ諸島にも可能性を追求できるのではないか。

(4) その他外国基地(ハワイ、オーストラリア、米本土、韓国ほか)

(5) 横田基地など、国内に存在する米軍基地
   横田;約700ヘクタール、文民共用化を東京都が希望

(6) 日本周辺の島礁部の活用
   これまでに提唱された島々で、緊急時の補助滑走路などの建設も地元が許せば可能である(徳之島、馬毛島、宮城島、下地島、伊江島、その他)

(7) 全国基地協議会の中で理解ある自治体
   再編に関係する米軍基地等の所在する55市町村に平成18年11月、理解の取付を実施した。その結果は、「容認またはやむを得ない」等、理解を示した地方公共団体が38(8都道県30市町村)であった。

Ⅴ.結論
 米軍が全世界に展開している戦力(総兵力160万人、総予算60兆円)の大々的な再編成をしているこの機を逃すことなく、日本政府、国会、そして沖縄が一体となって沖縄の基地負担軽減に向けて取り組んでいかなければならない。
 最終的には世界戦略の安全保障上の問題としてアメリカ国防総省が再編計画を最終決定するものであるが、我が国としては国外、県外の候補地を米側に提案してその選択を求め、同時に地元である沖縄の、これまでの恩讐を乗り越えた新たな見地からの理解がなによりも肝要である。
   戦後の沖縄の基地の歴史と変遷をみるとき、わずか0.6%の領土に74%の基地を押し付け、沖縄県民には不毛と苦難を強いてきたことへの深い反省の上に、新たな決意をもって、この最大そして最後の機会を逸することなく問題解決に邁進すべきである。

戦没者慰霊像に献花

   日比友好議連の公式日程を終え帰国を前に、ルソン地方バタアン州ピラール町のサマット山を訪れ、戦没者の慰霊像に献花をしてまいりました。その様子をフィリピン在住の邦人向けに発行されている「まにら新聞」が取材に訪れ、8日付けの紙面に掲載されましたのでご紹介致します。

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日比友好議連総会を開催


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   4月末から5月はじめの連休を利用して、国会の許可を得て日本・フィリピン友好議員連盟会長(以下・日比議連)としてフィリピンを訪問しました。
   日比議連は、百名を超える衆参両院議員で組織された国会では最大・最古の友好議員連盟であります。日本とフィリピン両国の関係は特に近年重要度を増しており、相互の貿易と投資額は2国間関係で最大のものとなっています。加えてフィリピンは日本にとって重要なビジネスパートナーとして連携を強化する上で、経済分野での踏み込んだ議論を行って参りました。さらには、中国の軍拡に深刻な懸念を示す米国の「国防計画見直し」を踏まえ、日本と同様に海に囲まれた島国であるフィリピンと米国を加えた三国同盟深化の推進が大きな目的でありました。

日比・比日議連総会でのテーマは以下の通りです。
 〈経済分野の互恵関係の強化〉
 ○優先テーマ
 ・貿易・投資の促進(ビジネス環境整備含む)
 ・インフラ整備(官民パートナーシップ(PPP))
 ・看護師・介護福祉士候補者の受入れ
 ・地デジ日本方式導入
 ○第2優先テーマ
 ・経済協力(ODA)
 ・観光促進、退職者移住
 〈政治・安全保障分野の信頼関係の強化及び人的交流の強化〉
 ○優先テーマ
 ・地域情勢(南シナ海を含む)
 ・海上保安機関間・防衛当局間の交流・協力
 ○第2優先テーマ
 ・ミンダナオ和平
 ・議員交流
 ・文化交流、青年交流、留学生交流

今回の日比友好議連のフィリピン訪問のメンバーと日程は以下の通りです。

石井一(団長・民主)
小坂憲次(副団長・自民)
西村康稔(自民)
中村博彦(自民)
二之湯智(自民)
末松信介(自民)
那谷屋正義(民主)
山内康一(みんな)
向山好一(民主)
玉城デニー(民主)
柴田巧(みんな)
石橋通宏(民主)
桜内文城(みんな)
小熊慎司(みんな)
松岡広隆(民主)

5月3日(木)
アキノ大統領表敬(マラカニアン宮殿)
卜部在フィリピン大使による現地事情ブリーフィング(大使公邸)
5月4日(金)
日比・比日議連総会(マニラ・ホテル)
両議連会長によるスピーチ、分科会、ラップアップ
比側議連主催昼食会、エンリレ上院議長も参加(マニラ・ホテル)
昼食会後、両議連会長による共同文書署名・交換
日比議員連盟歓迎レセプション(ロペス在京フィリピン大使主催、ロックウェル「パーム・グローブ」) 
 
総会での私のスピーチ(英文・和文)は以下の通りです。

Draft Speech of Mr. Hajime Ishii, President of the Japan-Philippines Parliamentarians’ Friendship League
(May 4, 2012)


H.E. Juan Ponce Enrile, Senate President, H.E. Franklin Drilon, the President of the Philippines-Japan Parliamentary Association, Senators and Congressmen, Ladies and Gentlemen, I am grateful for the opportunity to address you today.
In spite of the fact that the Senate of the Philippines is now facing a serious political internal issue, our counterpart members kindly welcomed our delegation. I appreciate your kindness and greet all of you on behalf of the Japanese delegation.

First of all, in the aftermath of the Great East Japan Earthquake last year, we received assistance, relief goods and contribution from your country, including medical teams sent by your government to the devastated areas in Japan. I would like to express my heartfelt appreciation for the kindness and friendship you have rendered to us. I hope that the Filipino people, as real friends of Japan, believe in the potential power of the Japanese people. Since both Japan and the Philippines have suffered from numerous natural disasters, we are destined to help each other and promote our cooperation for disaster prevention. We should discuss this matter in the succeeding section meetings today.

I would like to touch upon the parliamentarians’ exchange relations between Japan and the Philippines. When President Corazon Aquino visited Japan as State Guest in November 1986, the Japan-Philippines Parliamentarians’ Friendship League was established. We are delighted that the general joint meeting has convened today after a long ten years interval. I strongly believe that it is very meaningful to exchange opinions over bilateral issues as well as regional situations among lawmakers of our two countries who are duly elected by our peoples. I hope today’s joint meeting would further strengthen the interchange between our two nations.

By the way, the President Benigno Aquino and Prime Minister Noda issued a joint statement and defined our bilateral relations as a “Strategic Partnership.” Our countries have a long history of friendship and share basic values such as freedom, democracy, basic human rights, and rule of law; a free and vital market economy; and strategic interests such as the safety of the sea lanes.

We want to discuss various matters of mutual interests from a broader viewpoint here today. The most important topic is the further enhancement of our bilateral economic relations which have been strengthened by the Japan-Philippines Economic Partnership Agreement, or JPEPA. Regarding the acceptance of Nurses and Careworkers under JPEPA, we would also like to exchange ideas to enable smooth sending and acceptance of candidates to ensure mutual benefit from the mechanism. The Government of Japan expressed its commitment to the development of the Philippines by actively providing ODA, and by promoting private investment including Public Private Partnership (PPP) projects. We should also think seriously how to promote investment through the improvement of the business environment in the Philippines.

We still have concerns, for example, one of the ODA projects, signed under the current administration, named “New Traffic Communications, Navigation and Surveillance / Air Traffic Management Systems Development Project”. As a part of ongoing review of projects signed under previous administration, the Philippine Government suspended the project which was half implemented.

As far as the digital TV terrestrial systems are concerned, it is regrettable that the decision by the Philippine Government to adopt the Japanese system 2 years ago is still under consideration. The Japanese style is superior in terms of cost efficiency and disaster management. We hope that the Philippine Government will officially announce the adoption of the Japanese system in the near future.

In terms of national security. it is very crucial to appeal for the compliance of international law, security of freedom of navigation, and peaceful settlement of disputes to the international community. Our two countries have serious concerns over the security of the sea lanes and are allies of the United States. I would like to draw your attention to the apprehensive situations in East China Sea and West Philippine Sea. Japan and the Philippines should jointly defend the sea lanes in case of emergency. I understand your country will host the ASEAN Maritime Forum this year, and at the same time arrange the enlarged forum for both government and private sector of East Asia Summit (EAS) members to freely and widely exchange opinions. Furthermore, it is important to promote exchanges and cooperation between defense authorities and maritime safety authorities of the two countries as agreed by our leaders last September. Those are very positive results by the joint efforts of our two countries.

I would also hope that the Philippines would provide US Marines with training bases. As you might be aware, 74% of US military bases are located in Okinawa and it is a serious political issue in Japan. We do hope you consider the acceptance of our request in order to decrease the burden of Okinawa. Moreover, Japan and the Philippines should cooperate and react to the threat to regional security, such as the launch of missiles by North Korea.

I would also like to mention the Mindanao Peace Process. We are interested in the progress of the peace negotiations between the Government of the Philippines and the Moro Islamic Liberation Front (MILF). Japan has implemented many social and economic projects under J-BIRD (Japan-Bangsamoro Initiatives for Reconstruction and Development). In August last year, in response to the request of the Philippine Government, Japan arranged the breakthrough meeting between President Aquino and MILF Chairman Murad in Japan. We will continue to assist the peace process in the future.

To close my speech, it is also extremely important to promote tourism and youth exchange in order to improve mutual understanding at the people to people level. I will also touch upon the relocation of Japanese retired persons to the Philippines. I would like to deepen our discussion on this matter.

Finally, I look forward to a fruitful exchange of opinions among our colleagues. Thank you very much.


日比・比日友好議員連盟総会(5月4日、於:マニラ)における
石井一日比友好議連会長演説

エンリレ上院議長、ドリロン比日友好議員連盟会長、フィリピン上下両院議員、紳士淑女の皆様、本日ここでお話しさせていただく機会をいただき喜んでおります。
 フィリピン上院が現在、深刻な内政問題に直面しているにもかかわらず、比側議連の方々は我々代表団を温かく迎えていただきました。日本側代表団を代表して、皆様の親切に謝意を表するとともに、御挨拶申し上げます。

 まず、昨年の東日本大震災に際しては、貴国から支援、救援物資・義捐金の供与、比政府による医療チームの被災地への派遣などを頂きました。あなた方が差し伸べて下さった優しさと友情に心から感謝申し上げます。真の友人であるフィリピン国民には、日本の底力を信じていただきたいと望んでいます。これまで多くの自然災害に苦しんできた日比両国は、お互いに助け合い、防災のための協力を推進していく運命にあります。本日の総会でも、この点につき議論したいと考えます。

 両国の議員交流についてお話しいたします。1986年11月、コラソン・アキノ大統領が国賓として訪日された時、日比友好議員連盟が設立されました。10年という長い期間を経て、久し振りに日比・比日議連総会が本日開催されることは大変喜ばしいことです。国民の負託を受けた国会議員同志が、二国間問題、地域情勢について、意見交換を行うことは大変有意義なことと強く信じます。この度の総会を契機に両国の議員交流が更に活発化することを望みます。

 さて、ベニグノ・アキノ大統領と野田総理大臣は共同声明を発出し、両国関係を「戦略的パートナーシップ」と位置付けました。日比両国は、長い友好の歴史を有し、自由・民主主義・基本的人権・法の支配等の基本的価値を共有し、自由かつ活発な市場経済国として、シーレーンの安全確保等の戦略的利益を共有しております。

 本日の議連総会においては、大局的な見地から、お互いが関心を有するさまざまな問題について議論したいと思います。日・フィリピン経済連携協定によって強化された二国間経済関係の更なる強化は最も重要な課題です。経済連携協定に基づく看護師・介護福祉士の受入れについては、両国が共に裨益するよう、候補者の円滑な送り出し及び受入れが可能となるよう知恵を出し合いたいと考えます。また、我が国政府は、ODAの積極的活用を通じ、官民パートナーシップ(PPP)案件を含む民間投資の促進により、フィリピンの発展に関与していくことを約束しました。

他方、我々はまだ懸念を有しています。例えば、現政権下で署名されたODA案件の一つ、「次世代航空保安システム整備事業」です。前政権下で署名された案件の見直しの一環として、比政府はこの案件を中断しており、未完成となっています。

地デジについては、2年前に日本方式を採用するとした比政府決定を未だに再考していることは大変遺憾です。日本方式は、コスト面でも防災面でも優れています。我々は比政府が近い将来、日本方式の採用を正式に宣言することを望みます。

 安全保障については、国際法規の遵守、航行の自由の確保、紛争の平和的解決を国際社会に訴えていくことが大切です。我々両国はシーレーンの安全確保に深刻な懸念を有しており、ともに米国の同盟国です。私は、東シナ海と西フィリピン海における心配な状況に注意を払って欲しいと思います。日本とフィリピンは緊急事態にはともにシーレーンを守らなければなりません。本年、フィリピンはASEAN海洋フォーラムを主催するとともに、東アジア首脳会議(EAS)参加国の政府関係者と民間有識者が自由に幅広く意見交換できる拡大フォーラムも同時にアレンジされると承知しています。更に、昨年9月に両首脳間で合意されたとおり、両国の防衛当局間及び海上保安機関間の交流及び協力を促進することが重要です。これらは両国がともに努力して得られた前向きな結果です。

 私はまたフィリピンが米海兵隊に訓練基地を提供してほしいと考えます。ご存知のとおり、在日米軍基地の74%が沖縄にあり、これは日本における深刻な政治問題となっています。沖縄の負担軽減のために、我々の要請を受入れてくれることを検討して欲しいと考えます。更に、日本とフィリピンは北朝鮮によるミサイル発射のような地域安全保障への脅威に対し、協力して対処していかなくてはなりません。

 ミンダナオ和平プロセスについて触れます。我が国は、フィリピン政府とMILFとの和平交渉の進展に関心を有しております。我が国は、J-BIRDの下、多くの社会・経済プロジェクトを実施してきました。昨年8月には、フィリピン政府の要請を受けて、アキノ大統領とムラドMILF議長との会談を日本でアレンジいたしました。我々は今後も和平プロセスを支援していきます。

 スピーチを終えるに当たり、国民レベルの相互理解を促進するため、観光及び青少年交流を促進することが極めて重要です。また日本人退職者のフィリピン移住についても触れたいと思います。この点についても、議論を深めたいと考えます。

 それでは、同僚議員たちによる有意義な意見交換を期待しております。ありがとうございました。
                           (了)



両国議連会長による共同文書は下記の通りです。

IMG_2627_convert_20120509160726.jpgIMG_2649_convert_20120509160759.jpg 比日・日比友好議員連盟
共同声明

比日議員連盟及び日比友好議員連盟は、2012年5月4日、フィリピン共和国マニラにおいて、合同総会を開催し、次のとおり共同声明を発表した。

1)本日の合同総会開催にあたり、日比両国の友好議員連盟代表は、日比両国が、隣国としてこれまで長い友好の歴史を育み、自由・民主主義・基本的人権・市場経済といった基本的価値観及びシーレーンなど戦略的利益を共有する「戦略的パートナー」であることを再確認した。また、合同総会において、経済関係、政治・安全保障関係及び人的交流につき幅広い議論を行うとともに、未来志向の友好関係を発展させる決意を表明した。

2)両国議員連盟の代表は、両国が相互補完経済関係にあることに鑑み、日比経済連携協定(JPEPA)が日比経済関係拡大に寄与してきたことを確認した。また、JPEPAの下で確立されたメカニズムを通して、貿易・投資を更に促進する必要性を指摘した。また、日本側は、「次世代航空保安システム」の中断について懸念を表明した。比側議連は日本側の懸念を比政府関係機関に伝達することを約束した。

3)両国議員連盟の代表は、PPP等のインフラ整備の推進が重要であることで認識の一致を見るとともに、日本の対比経済協力は、フィリピンの貧困削減及びミンダナオ和平構築支援に加え、ビジネス環境改善にも積極的に活用されるべきであることを強調した。更に、両国は防災分野、災害対策分野及び気候変動への適応分野での協力を強化すべきであると確認した。

4)両国議員連盟の代表は、フィリピンからの看護師・介護福祉士の日本への受入れは、高齢化社会を迎える日本の将来にとり極めて重要な施策であるとの認識で一致し、受入れられた候補者数が、当初の目標数にはるかに及んでいないことに深刻な懸念を表明した。両代表は、この受入れ制度が日比双方にとり有益なものとなるよう、改善のための不断の努力が必要であることで一致した。また、両代表は、候補者の円滑な送り出しと受入れ、外国人にとって公平な国家試験の実施、候補者の滞在期間の延長、介護報酬の人員配置基準への候補者の算入の必要性を強調した。両代表はまたフィリピン国内における日本語研修を6ヶ月間に延長する必要があることで一致した。

5)地デジについて、比側議連は、欧州方式と比較した日本方式の技術面及び価格における競争力についての比政府の懸念を表明した。日本側はその発言に留意し、比側の懸念を日本政府関係機関に伝達することとした。更に、日本側は、比政府の検討のために、可能な限り早期に、日本方式の実際の価格について分析し、伝えることとした。しかしながら、日本側議連は、日本方式が技術・費用・防災の観点から、他のどの方式よりも優れているとの立場を維持し、できるだけ早く比政府に日本方式を採用することを求めた。

6)両国議員連盟の代表は、日比両国の経済・人的交流において、観光の果たす役割の重要性を認識し、今後、観光促進のための効果的な方策を見出すことで一致した。更に、比側は、比退職者庁のプログラムにより、フィリピンへの移住を希望するより多くの日本人退職者を受入れる機会を探ることとなった。

7)両国議員連盟の代表は、平和で安定した地域情勢が繁栄の礎であるということを確認し、特に、西フィリピン海、東シナ海の現状に懸念を表明した。両国議連は、航行の自由、国際法、特に国連海洋法条約の遵守、2002年の南シナ海に関する行動宣言(DOC)の重要性を強調するとともに、紛争の平和的解決のために共に協力することを約束した。更に、比側議連は西フィリピン海の問題についての日本の友情と支持に謝意を表した。

8)両国議員連盟の代表は、両国の防衛当局間及び海上保安機関間の交流及び協力強化の必要性につき議論し、比沿岸警備隊の能力向上のために、日本が多目的巡視船供与、通信システム改善、人材能力強化を積極的に行うことが重要であることを確認した。
日本側議連は、日本の自衛隊が比憲法の条文に従って、フィリピン周辺における軍事訓練に参加することが重要であると強調した。また、沖縄の負担軽減のため、米軍の沖縄における訓練を比 国を含む複数の地域で交替で実施することを提案した。

9)比側議連は、ミンダナオ和平に対する日本の積極的な支援及び貢献に深い謝意を表明した。これに対し、日本側議連は、ミンダナオ和平の達成は地域の平和と安定にとって重要であると認識し、日本の和平プロセスに対する支援へのコミットメントは不変であると表明した。

10)両国議員連盟の代表は、両国の文化交流、特に青少年交流を促進することとした。比側議連は、東南アジア青年の船(SSEAYP)、21世紀東アジア青少年大交流計画(JENESYS)、人材開発奨学制度支援(JDS)及び若手指導者の研修プログラム(TPYL)などフィリピン青年の役に立つ日本による交流プログラムに謝意を表した。

11)最後に、両国議員連盟の代表は、議員交流の重要性を確認し、両国議員連盟の活性化をはかり、相互訪問を重ねて行くことを約束した。


                                                                                                                  2012年5月4日
                                                                                                   フィリピン共和国マニラにて


日比友好議員連盟会長         比日議員連盟会長

       (署名)                            (署名)
     石 井    一                 フランクリン・ドリロン